東京地方裁判所 昭和53年(ワ)10459号 判決
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【判旨】
2 抗弁2(権利濫用)について
原告が昭和五二年二月頃被告の申出により本件国際通話をした者がサラペであることを知り、爾後同人に対して通話料金の支払督促をなし、かつその支払を得られなかつたのに同年四月まで本件加入電話につき通話停止の措置をとらなかつたことは前記のとおりである。しかし、前記のとおり、加入電話の通話料金の支払義務者は、実際の利用者が何人であるかを問わず、当該電話の加入者であると解すべきこと、通話料金の支払がない場合に通話停止の措置をとるか否かは原告の裁量に属し、必ずその措置をとるべき義務があるものとは解されないこと、前出甲第一一号証の一ないし三の記載によると、本件の場合、本件加入電話の事実上の利用者が外交官であることから、なるべく通話停止による不便を及ぼさないよう原告において配慮したものであることが認められること、他方、被告本人尋問の結果によると、サラペは被告所有のアパートの借家人であつて本件加入電話は右貸家に設置されていたことが認められ、従つて、被告としてはサラペが通話料金を支払わないことにより被告の負担となる結果を避けるため、サラペに対し本件加入電話を拒絶し、更には公衆電気通信法三四条により日本電信電話公社に対し電話の設置場所の変更を請求し得たのになんらかかる措置をとつた形跡が見当らないこと等に照らすと、前記のような事実があるからといつて原告の本件請求が権利の濫用であるとは到底いいえないし、他に、これを首肯すべき事情も認められない。
(佐藤安弘)